優れたトランペット奏者であり、偉大なジャズマンでもあった「サッチモ」ことルイ・アームストロングの代表作と言えば、「What
A Wonderful World(この素晴らしき世界)」をあげる人が多いと思います。
映画やドラマ等々で良く使われる曲ですから、若い人でも一度は聞いたことがある曲じゃないでしょうか。最近では、「ソフトバンク
桃太郎」のCMでも流れています。
トランペットを汗ですべらないようにハンカチで持って、歌えば例のしゃがれ声。世界中をロシアにいたるまで演奏して歩いたジャズマン。
映画でも軽妙な演技をみせたアメリカの名士であったのに、それでも差別の苦しみに耐えて生きていた人でした。
「尊敬されるのは演奏をしている時だけ」
黒人の芸人はそのことを良く知っていて、それをあきらめる。
当時のブラックパワーの波の中でも、白人と交流のある黒人は運動には加わらずに差別に甘んじていたのです。
それでも彼がビング・クロスビーに言った言葉は激しい。
「貴方に抱いて欲しいと言っているのではない。普通の人間のように扱って欲しいだけなのだ」
彼が本当に、この歌の様に「What A Wonderful World(この素晴らしき世界)」と感じられたのは、晩年になってから
だったんじゃないでしょうか。
以下のように訳してみましたが、いかがでしょうか。
緑の木々、赤いバラの花々も
きっと僕と君のために咲いているんだ
そして、しみじみと思うんだ
なんて素晴らしい世界だと
青い空と白い雲
輝く幸せな昼も 暗い聖なる夜にも
僕は独り思うんだ
なんて素晴らしい世界だと
虹は空に映え
行きかう人たちの表情も明るい
友たちは手を握って挨拶を交わす
心から「大好きだよ」と言い合う
泣いている赤ちゃん
君たちの成長を見守っていくよ
この先、僕なんかが想像できないくらい
たくさんの事を学んでいくだろう
そして、しみじみと思うよ
この世界はなんて素晴らしいんだろうと
本当にそうさ
なんて素晴らしいんだろう、この世界は